1948(昭和23)年、東京・豊島の帝国銀行椎名町支店で帝銀事件が起こりました。東京都の衛生課員と名乗る男が、「近くで赤痢が発生したので予防薬を飲んでもらう」と偽り行員16人に青酸化合物を飲ませて殺害し、現金16万円と小切手を奪って逃走しました。当初は青酸化合物の扱いに熟知した旧陸軍細菌部隊関係者を中心に捜査されていましたが、その年の8月に画家・平沢貞通を北海道小樽で逮捕、1955(昭和 30)年8月に死刑が確定しました。しかし、審理に不審な点が多く、冤罪であるとしてその後何度も再審請求が出されました。平沢貞通は刑を執行されないまま1987(昭和62)年に獄中で病死しましたが、現在でも支援者が名誉回復の為の再審請求を続けています。この事件にもとに、横溝正史の『悪魔が来たりて笛を吹く』等多くの推理小説が書かれました。
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